以前のセミナーでいただいたご質問への回答
「皆様からのご質問に真剣にお答えします!Q&A」は、ページ下にあります。
第2回 Web教育セミナー
★Q&A
Q:実務経験とはがんゲノム関連病院などに勤務していないと実務とならないのでしょうか?
A:ジェネティックエキスパート認定制度の実務経験は遺伝子診療に関わる実務経験です。
がんゲノムに関与しない遺伝子関連検査でも業務に携わっていれば実務経験になります。
受講者アンケート結果
●がんゲノム研究会 オンラインセミナー2023●
〜がんゲノム医療におけるDry解析の知識〜
「バイオインフォマティクス」をテーマにしたセミナーを開催しました.
受講者の皆様にご回答いただいたアンケート結果を公開します!!
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次回のセミナー開催の参考にさせていただきます!
誠にありがとうございました!
皆様からのご質問に真剣にお答えします!
Q&A
回答担当:井上博文 先生
オンライン講義1:がんゲノム医療の全体
Q1. 出検前にDNAのクオリティチェックは重要な事だと思いますが、こちらはいくらか診療報酬として請求出来るのでしょうか?それとも持ち出しとなってしまうのでしょうか?
A1. 持ち出しです。中核拠点施設として自施設のFFPE品質を知ることと、提供いただく関連病院のFFPEブロック品質をお知らせし、不良の場合の改善対策資料として行っています。
Q2.大変分かりやすくご講演ばかりでした。ありがとうございました。保健収載されているCGP検査に提出する前のDNAの品質確認のための必要経費は、どのように捻出されておられますでしょうか。また、検査前のDNA品質の確認の段階で、CGP検査で解析に用いるための組織の量(DNAの量)が不足する心配があるようなケースはないでしょうか。どのような工夫をされているのかをご教示いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
A2.経費は持ち出しです。収量不足が懸念される症例は生検検体ですが、ゲノム目的生検の場合、当院はほぼ全症例でROSEを実施しています。ROSEの段階でCGP検査に適さないと考えられる場合はその場で術者へその旨を伝えます。適と判断した検体は腫瘍量評価用標本作製時に核酸抽出用標本、核酸品質チェック用を同時に作製します。抽出用標本は冷蔵保管、チェック用は核酸収量、品質を確認し作製枚数の総収量と品質を確認します。不足の場合、後日追加薄切します。
既存生検を用いた以来の場合は病理診断時作製したHE標本で大体の核数、腫瘍割合を確認します。HE像と残FFPEブロックの検体形状と大きく変化がない場合、腫瘍量評価用HE、抽出用標本、核酸品質用切片を作製します。
HE像の組織で数百個程度の細胞像や残FFPEブロック検体が少なかった場合は主治医、ゲノム担当医、担当看護師、診療情報管理士にメール連絡、併せてカルテ記載を行い検体不適である旨を報告します。
回答担当:須賀淳子 先生
オンライン講義2 がんゲノム医療コーディネーター〜実際の業務~
Q1. 小児のパネル検査ではRNAや融合遺伝子もわかるようになるとの事でしたが、今までは融合遺伝子は分からなかったのか、それともあえて融合遺伝子は外していたのでしょうか。知らなかったのでちょっと驚きました。
A1. 講演時の説明が不足しており大変申し訳ございませんでした。融合遺伝子は現在の保険診療のがん遺伝子パネル検査でも検出できます。小児がん領域で検討されているがん遺伝子パネル検査ではRNAパネルも追加されており、RNAは融合遺伝子が検出しやすいという点でわかるようになるということになります。
Q2. 実際のコーディネーター業務内容を詳しく聞きたかった
大変勉強になりました。臨床検査技師は各施設次第で内容が異なるとありまし
たが、がんゲノムコーディネーターとしての具体的な仕事、例を教えていただきたいです。
A2. 当院のがんゲノム医療コーディネーターの具体的な業務は、患者さんにゲノム検査の概要や費用の補足説明、C-CATにデータ提供するための臨床情報入力、エキスパートパネル開催準備、エキスパートパネル結果報告書内容の確認と発行・登録作業、結果説明日の日程調整、C-CAT追跡調査、がん遺伝子パネル検査を進めるために各部署と連携することなど多岐にわたります。
また、患者さんや他施設からのがん遺伝子パネル検査に関する問合せ対応もおこなっております。
Q3. 医療機関での業務内容を総括いただき、また現在に至る法制の経緯等にも触れていただき、大変参考になりました難しいとは存じますが、本検査に従事する者として気概をもち、その思いを皆様と共有できるため、保険適用CGP
で治療に結び付いた10%弱の方々の経過を、今後の会にてご報告いただけますと幸いです。
A3. ありがとうございます。がんゲノム医療の出口である治療到達割合やその内容について今後もご報告してまいります。
Q4. 当院はコーディネーターが不在で、ゲノム医療専任の看護師が全て対応し、臨床と病理の橋渡し等全て担当されてます。コーディネート業務をする上で大切にされてる事、また病理部門がどのように協力すると業務を円滑に進める事が出来るかあれば教えて下さい。
A4. 業務をする上で大切にしていることは、関係部署の方々のご意見を傾聴し、フットワーク軽く動くことです。
私的見解ですが、病理部門はゲノム検査に適する病理検体の適切な固定・保管をおこない、がん遺伝子パネル検査提出が可能かどうかの判断、出検手続きなどを担当していただけるとありがたいのかなと思います。
Q5. 具体的な業務、患者へのかかわりかたを教えて欲しい。またがんゲノムを始める時の問題点や検討して業務について
A5. 具体的な業務は、患者さんにゲノム検査の概要や費用の補足説明、C-CATにデータ提供するための臨床情報入力、エキスパートパネル開催準備、エキスパートパネル結果報告書内容の確認と発行・登録作業、結果説明日の日程調整、がん遺伝子パネル検査を進めるために各部署と連携することなど多岐にわたります。
患者さんへの関わり方ですが、当院ではゲノム検査希望から結果説明まで一連を通して同じ人が担当するようにしております。そうすることで患者さんとよりコミュニケーションが取りやすくなっています。
始める時の問題点や検討した業務については、まず事務方や各診療科、スタッフなど関わるであろう関係者を集めてキックオフミーティングをおこない、想定される課題や問題点を共有し、大きなトラブルなく開始することができました。
回答担当:中村信之 先生
オンライン講義3 がんゲノム検査領域病理検査工程
(*赤羽先生の講義内容にも当てはまる質問は、赤羽先生にも回答いただいています)
Q1. プロメガの抽出では70℃1hからオーバーナイトで行っているとの事でしたが、オーバーナイトでも抽出量など影響はないのでしょうか?肺のRNAの抽出が結構な頻度で難しかったので過固定になってしまっているのかと考えているのですが、どう思われますか?
A1. 加温時間が長いほど、吸光光度法で測定した濃度(濁度)は高くなりますが、断片化した核酸の割合も高くなる傾向があります。収量が十分なのにPCRがうまくかからない場合は、RNAの分解(組織が固定されるまでに時間がかかった、FFPE作製時の脱水が不十分であった、抽出時の加温条件が厳しすぎた、等)が影響していることが考えられます。(中村先生回答)
A1.加温時間の延長で対応できるのはDNAのみでありRNAの場合、1時間程の加温処理で対応しています。ご使用のキット条件が分かりませんので、難しいですが、様々なキットをご検討のうえで、抽出量が悪い場合は、病理検体作成時の問題が考えられるかと思います。(赤羽先生回答)
Q2. 現在のパネル検査はDNAがメインになっている様に思いますが、今後別のパネル検査等でRNAをターゲットにした場合固定の条件は同じでよろしいでしょうか?
RNAは15~20%ホルマリンで長時間の固定の方が良いというのも聞きますし、DNA用RNA用と分けて準備した方がいいのでしょうか?
A2. 現状は世界的に10%中性緩衝ホルマリンでの固定が推奨されております。
そのため、短時間に固定されるような工夫が必要になると思っております。
Q3. 切片作成の際に水槽を浮かべるのではなく、直接ガラスに載せるというのはコンタミ防止という意味でも重要な事だと思いました。ルーチンの参考にしたいと思います。普段水道水を利用しているのですが、Nuclease-free water等を利用した方が良いでしょうか?
A3. 水道水のnucleaseが遺伝検査結果に悪影響を及ぼすという文献は私の知る限りありませんので、水道水を使用しても経験的に問題なければ必ずしも変更する必要はないと思います。
しかし、エビデンスがないがゆえに、可能な限り可能性を排除しておくことで、検査ができなかった場合に標本作製工程に問題がないことを相手に納得していただけるのではないかと考えています。(中村先生回答)
A3. 中村先生のご回答の通りですが、経験上、水道水でもpure waterでもパネル検査に影響を与えるような品質の問題は認めませんでした。しかし、解析系によっては影響がでる可能性はゼロではないと思うので、ご施設の使用機器などに合わせ適宜条件検討されるのがよろしいかと思います。(赤羽先生回答)
回答担当:赤羽俊章 先生
オンライン講義4 がんゲノム検査領域の遺伝子検査工程
Q1. Libraryの作成などやったことがないので、理解しにくい部分があるので見学などさせてもらえる機会があればよいと思った。
A1. 鹿児島大学病院、見学来てください。歓迎します。
Q2. がんゲノム領域の検査工程がまだ勉強不足でDNAの収集量や劣化のグラフについてよく分からなかった。グラフの見方を初心者にも分かりやすくして欲しかったです。
A2. ご指摘の通り、本来ならば、グラフなり抽出方法や品質の話だけで1時間以上かけることが必要です。しかし時間の関係ではしょりました。実技講習の時に詳しく解説できる機会を設けたいです。
回答担当:池尻誠 先生
オンライン講義5 Dry工程
Q1.機会があれば、LINUXの基礎などについてやって頂きたい。
A1. 次世代シークエンサーのデータ解析はLinuxで行うことが一般的ですが、一から始めるのはハードルが高く、セミナーの限られた時間で理解することは難しいのです。様々な研修会や書籍が出ているので、実践しながら解析を行ってみるとわかりやすいかもしれません。
令和3年度、4年度は厚生労働省委託事業「がんの全ゲノム解析に関する人材育成推進事業」の取り組みで『臨床におけるがんのゲノム解析研修会』が開催されており、Linuxの取り扱いにについて、入門から活用まで説明されていました。
また、トレーニングを提供している会社(例えばamelieffなど)やYouTubeで配信されている(TOGO TVなど)ので活用してみてもよいかもしれません。
Q2.もう少し詳しく聞きたかった。すべてのスライドの資料があると良かったです。
A2.解析の実践については、実症例を用いていたので配布資料に記載はしませんでした。次回も講義の機会があれば、仮想の症例を用いて行いたいと思います。
Q3.Linuxを使い、様々なプログラムを利用して解析というのは慣れてしまえば割と出来てしまうという印象ですが、慣れるには大変苦労も多く、コマンドミスで予期せぬエラーも発生と時間がかかり、相談や指導が受けられる環境が大事だと思いました。キュレーションを行う際に特に大事にされてる事がありましたらご教授頂けますと幸いです。
A3.バリアントのデータベースは常にアップデートされているので、過去に経験したバリアントでも、一つ一つ確認しています。また、現時点では意義付け不明のバリアント(variant of unknown significance:VUS)も、病原性あり(Pathogenic)や病原性なし(Benign)に修正される可能性があるため、過去の症例でどのようなバリアントが検出されているかをデータベースとしてまとめておき、修正時にフィードバックできるような体制を整えておくことが大事だと思います。また、臨床試験も同様に遺伝子バリアントによって紹介できる可能性があるので、定期的にデータベースを見直すのも重要だと思います。
回答担当:山田寛 先生
オンライン講義6 資格試験対策~認定臨床染色体遺伝子検査師(遺伝子)~
Q1. プライマーの設計でGCが50~60%で設計するとの事でしたが60%だとGCリッチ用のDNAポリメラーゼが必要ではないかな?と思いましたが、教科書的にはそうなっているのでしょうか?資格試験用にはそれで良いのかもしれませんがちょっと違和感があったので、申し訳ありません。
A1.試験対策なのであくまでも教科書的です。実際に設計して使用するときにはプライマーの設計によってDNAポリメラーゼなど条件を検討する必要があります。
Q2. 病理を今後やっていくなかで認定遺伝子検査技師の取得は必要かと思いました。ですので認定の取得、また病理での検体の取り扱いの実装にも必要となってくるかと思いますので、試験の内容に沿った講義をお願いしたい次第です。
A2. そうですね。病理の仕事の範囲はどんどん増えていっています。とくにがんゲノム医療においては「病理検体」を使いますので【病理の知識+遺伝子の知識】が必須になってきます。まずは日臨技から出版されている「遺伝子・染色体技術教本(https://www.jamt.or.jp/books/2019/05/post-26.html)」などを参考書として勉強していかれるのが良いと思います
Q3.認定技師試験の受験資格にある一年の業務歴ですが、遺伝子関連試薬や機器の販売も認められるでしょうか?検査技師資格をもたず、医療機関に所属していない場合に認められる業務歴があれば教えてください。
A3. 受験資格の「3. 染色体遺伝子検査に関する業務歴を 1 年以上有すること」ですが、企業の場合できることが限られてきますよね。ただ機器や試薬の販売は関連業務には含まれないと考えます
私見ですが、企業ですと学術的なことは「関連業務」になるのかなと思っています。例えば、sampleを用いた機器や試薬の開発や改良に関わってデータ収集をして学会発表や論文を書いたなどの流れで行ったことは「遺伝子関連業務」になるのではないかと思っています。
具体的にどのようなことが関連業務あたるのか、知りたいのでしたら日臨技に質問するのが一番良いかと思います。